第XI章
困った時のQ&A
記載 / 2013年2月14日
第301〜302ページ「バイエル」の話
話は3拍子の話題に飛躍します。
「日本人は3拍子が苦手で」は、よく言われるところです。
ヨーロッパでも苦手な人は苦手なのではないか?と思いますよ。ただ、生活に3拍子の踊りが密着しているので、そのような意見が出るのでしょう。
折角バイエルに「ワルツ」のリズムが頻繁に出てきても、左手の3つの拍を同じに弾いてしまっては「踊り」になりません。ワルツのみならず、3拍子には沢山の種類の踊りがあり、いくつかの例外を除けば1拍が強拍、2拍と3拍が弱拍。だからと言って、1拍目と2拍目を勝手にレガートスラーで繋げたような弾き方になってしまうのも残念です。
テンポにもよりますが、バイエルに(折角)出てくる3拍子。第80番、第81番、第82番の中間部、第96番、第98番など。これらの左手は3拍とも切って、しかも1拍目に重さをかけて弾くことが好ましいです。(初心者のレベルで?と言われる方もおありでしょうが、このレベルに至るまで、「補い」を怠らず、手本を示して練習を促してくれば、決して無理ではありません)
1拍目は重さをかけたスタッカート、2拍目と3拍目は軽いスタッカート、まずこれを上記のバイエルでマスターしてしまうことです。
それ以前、第64番の連弾の伴奏をご覧ください。左手のオクターブは、オーケストラのコントラバスとチェロで、右手の2拍目と3拍目はヴィオラと第2バイオリンが(2音と1音、4音あるものは2音ずつ)弾き分ける典型的なものです。この曲では左手が2分音符と4分休符になっていますが、余韻があるので結果そのようになり、決して2拍きっちり伸ばしておく、というものでもありません。第63番後半の伴奏もです。付点2分音符で書かれていますが、決して左手をずっとレガートで弾くわけではないです。その良い伴奏の弾き方を子供の耳に残しておくことです。
その後、第97番や第100番中間部ではバスを押さえておく練習もあります。この場合、押さえている間第5指が力まぬよう、まず切って弾く練習をし、「そのまま鍵盤の底に残しておく」とい順序立てて練習すると上手く行くことが多いです。
最近ではヨハン・シュトラウスIIのワルツをテレビでも(或いはYouTubeであっても)画像と音を同時に観察出来ます。是非目と耳でご覧頂き、「感覚」として体得して頂きたいと思います。踊りそのものも見ることが出来ますし、演奏のボーイングや強弱の付け方、各楽器の奏法など、観察したいことはいくらでも見ることの出来る時代になりました。
もっと進んだレベルでの3拍子の踊りの曲(ショパンのワルツであっても)が上手く弾けない場合には、これらのバイエルに戻って体得する時間を惜しんでは、それこそ惜しい!!
それ以前に、3拍子で歩くことも楽しいものです。1拍目で大きく足を一歩出し、2拍目は軽く、3拍目はもっと軽く。つまり1拍目の足は左右交互になります。これなら踊れなくてもOK!(本来の踊りは1拍目で前か後ろに大きく足を出して2拍目で向きを変え、3拍目は足を揃える…といった基本で、3拍目は揃えるだけなのでアクセントが付かないわけです)
ブルクミュラー「25の練習曲」のスティリエンヌ(これは別な箇所で書きました。レントラーというワルツの前身)に効果があるでしょう。ギロックには「ウィンナーワルツ」というタイトルの子供用の小品がありますが、これとて、大人は本物の「ウィンナワルツ」の揺れで弾いても構わない、いや、寧ろ弾くべき、弾いて聴かせるべき、と思います。子供の場合は、Kärntner Strasseでよく見かけるハンドルを回して鳴らしている手回しオルガン(という名前かどうか定かでないが)のような表現でも楽しいと思いますが…
長くなりました。たかがバイエル、されどバイエル。
記載 / 2012年8月7日
第313ページの図11-10
この器具がどこで売られているか、というご質問は以前にも数名の方から受けましたが、幸い、私の知っている店のある吉祥寺からさほど遠くない方ばかりでした。
先日、遠くにお住まいの方よりお尋ねを受けて、ひょっとすると今の時代ですからネットで購入出来るのではないだろうか?と検索しました。
ありました!
http://www.3bs.jp/therapy/hand/w51120-w51124.htm
(そのまま貼り付けてアクセスなさってください)
「指を一本ずつ動かせるので,強度の弱いものはリハビリに最適です。また指の柔軟性を高める効果も抜群の為,楽器の演奏やロッククライミングをする方にも絶大な人気です。強度の異なる5種類からお選びいただけます。」と記されています。
5種類それぞれに指1本の強度と手全体の強度が記されています。
私自身は「皮膚筋炎・多発性筋炎」のリハビリとして病院で当初赤いものと黄色いものをお借りしたのですが、その時点での手全体 - 勿論腕の筋肉も使っての握力が20キロにも満たない頃でした。ピアノを弾く為の握力を均等に付けようという場合で、しかもお子さんで握力が極端に無い場合には、…まずは器具を使わず、「ピアノを弾く正しい指の形」を机の上で構えることに始まると思います。
鍵盤を押し下げられるレベルになりましたら、器具を使えると思います。
最初は黄色で第4指も第5指も押せるように始めるとよろしいと思いますが、無理は禁物です。
大人が、それも一般生活を普通に送っておられる方が第4指と第5指を鍛えたい場合には緑、他の指は青、それらが楽に押せるようになりましたら黒、と複数を順次用意されると宜しいのではないかと思います。とは言え、男女差もありますし、プロのピアニストであれば必要ない場合もありましょう。一概に私から発言することは実際には難しいのです。参考にならない指標かもしれません。ご了承ください。
使用にあたり注意することは、どの指関節も陥没することなく押すことです。これをいい加減にすると「悪い指の癖」を付けるためのトレーニングとなってしまいます。
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